2020.12.20 あきた青年公論に寄稿しました

秋田青年会館が発行している「あきた青年公論」に【アドラー心理学は人生の指針】と題しまして寄稿させていただきました。(2020年12月12日発行)

どんな講座を開催しているのか、講座によってどんな変化があったのか、アドラー心理学についてよく知らない人が興味をもって読めるような内容で書きましたが

私自身のアドラー心理学への思いを整理する良いきっかけとなりました。お話をくださった秋田県青年会館様、ありがとうございました。

冒頭の提言は、あの橋本五郎さん! お名前が並んでいるなんて恐縮極まります。

他にも、秋田の著名な方や、各々の活動を通して社会に貢献されている方々の熱い思いに紙面で触れることができ、みなさんから刺激をもらい、わたしもこの秋田で、できることを続けていこうという思いを強くしました。

また発行元の青年会館さんは現在、新型コロナウィルスの軽症者の療養施設として施設を提供してくださっています。

できることをそれぞれの立場で小さなことでも行動していくこと。または一人ひとりがほんの少し辛抱することで、この世界的な危機をみんなで乗り切っていけたらと思います。

こちらのあきた青年公論は、県議会や県教育委員会に配布されるそうで、秋田県内の図書館、公民館等で読むことができますが、そうそう出歩けないこのご時世、内容は以下に転載します。読んでいただけましたら大変嬉しいです。

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アドラー心理学は人生の指針 

 

 「アドラー心理学って、どんな心理学?」わたしはいつもこう答えます。「幸せになるための心理学だよ」 

 

 よく知らない人にとっては、一層あいまいな答えかもしれません。でも、知れば知るほど、この答えが最もふさわしいと思うのです。 

 

 図書館で偶然出会った1冊の本をきっかけに、アドラー心理学の世界に一気に引き込まれました。大学時代に学んだ研究や解釈のための心理学とは違い、すぐに使える実践的なところに惹かれ、アドラー東北で学ぶために仙台に通い始めたのは、2017年の春。もっとたくさんの人に知ってほしいという思いから、今は秋田市や地元の能代市でアドラー心理学講座を開催しています。 

 

 100年前の心理学者アルフレッド・アドラーが創始した通称「勇気の心理学」。アドラー心理学でいう「勇気」とは、「困難を克服する活力」のこと。 

 

 現在、世の中には、わたしたちの抱える様々な悩みを解決するための心理メソッド、セラピー、カウンセリングやコーチングなどが多数存在していますが、その源流をたどっていくと、大元はアドラー心理学に行き着く、ということが結構あるようです。だからこそアドラー心理学には、誰もがどこかにピンとくる点があるのではないでしょうか。 

 

 これまでの人生を振り返り、アドラー心理学を通して過去の経験の捉え方を変えたとき、ようやく自分自身をありのまま引き受ける勇気がもてました。過去の事実そのものに良し悪しはなく、自分が良い悪いの意味づけをしているだけ。ならば、その意味づけを今、変えればいい。わたしはこの力強い言葉に救われました。 

 

 そればかりか、娘への声かけや態度が随分変わりました。親は「何をすべきで、何をしないべきか」がアドラー心理学ではとてもわかりやすくて明快なのです。 

 

 アドラーは、人の悩みはすべて人間関係の悩みであると言いきります。子育ても、シンプルに考えれば親と子どもの人間関係の問題。 

 

 アドラー心理学は、こんな見方を提案します。すべての人間関係を「縦」でなく「横」で捉えてみませんか?と。 

 

 ちょっと苦手なあの上司とも、つれない態度の思春期のお子さんとも、学校の先生と生徒でさえも、役割や責任、できることに違いがあるだけで、意識の上でわたしたちはみな「横」の関係、つまり対等であると考えるのです。 

 

 わたしの講座の受講者さんたちは、子どもたちと関わる仕事の人、医療の現場で管理職をしていた人、自宅で家族を介護している人、病気を抱えている人、3人のお子さんの子育て真っ最中の人など、職業も年齢も抱えている悩みも十人十色です。 

 その中で、お互いの意見を尊重しあい楽しく学びあう「横」の関係でいられるのは、一貫してグループワークで学ぶことで、相手を受け入れ、違いを認めつつ、自分の考えを主張的に伝える方法がおのずと身につくからだと感じています。 

 

 ベストセラー「嫌われる勇気」をはじめ、アドラー心理学の本がたくさん出版された最近では、「褒めたり叱ったりせずに勇気づけること」や「相手の課題に土足で踏み込まない『課題の分離』」などの理論に、本を開けば簡単に触れられるようになりましたが、グループワークで実践・体感しながらアドラー心理学を体系的に学んでいくことに大きな価値があります。 

 

 自分の思いを受け止めてもらい、目の前の人の話に心を寄せて深く聴きあう時間を何度も重ねていくことで作り出されるあたたかい場。お互いの存在がとても大切に感じられ、自分はここにいていいのだという安心感の中で学べること。これこそが、一人で本を読むだけではなかなか味わえない醍醐味といえるでしょう。 

 

 「確実に人間関係の基盤になっている」「自分が一番の親友のような気持ちで過ごせるようになった」と、受講者さんからいただく生の声が講座を継続していく上で励みになっています。 

 

 もっと早くアドラー心理学に出会っていたらと思ったこともありますが、「過去に原因を求めず、未来の目的を考えて自己決定するだけで、いつでも新しい自分を始められる」と、100年の時を超えてアドラーが呼びかけてくれているようにも感じるこの頃です。 

 欠点も含めて自分を丸ごと受け入れる「自己受容」という考え方や「不完全でいる勇気」をもちながらも前に進むこと。アドラーの言葉は、どれもみな、すっと心に沁みわたり、自分や周りの人の許容範囲をぐっと広げてくれました。 

 

 さて、あなたの心が反応するキーワードは、ありましたか?アドラー心理学は人生の指針となる見方や考え方をたくさん教えてくれます。迷ったとき、悩んだとき、そしてそれを乗り越えようとするとき、自分には解決する力があるのだと、自分で自分を勇気づけられるような講座をこれからも開催していきたいと思っています。 

 

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