こんにちは。秋田アドラー心理学勉強会の坂本明子です。
アジサイが綺麗な梅雨の時期ですね。近所の神社へ散歩に行ってパチリ。このあとポツポツ雨が降ってきました。
中学3年の娘は、これから高校受験を迎えます。夏休み中に行われる「高校体験入学」に向けて、体験入学の希望の学校を提出しなければならないとのこと。
わたしの住んでいる市内の高校は少子化で統合が進み、現在3校しかありません。娘の中では、何となくここにするかなぁという気持ちではいたようですが、先日何かのきっかけで市外のとある高校に行ってみたいと言い出しました。
その高校のサイトを一緒に見てみると、娘の好きな英語に力を入れていて留学生との交流がさかんなことや学校の雰囲気などがとてもよさそうなことを知って、体験入学に是非行ってみたいと。
サイトに載っていた体験入学の案内を見ると、高校の締め切りはあさってで、中学校を通じて申し込んでくださいとあり、「ギリギリ間に合うから、明日朝学校行ったらすぐ先生に言う!」と喜んだのも束の間、中学校からのお便りを見てみると、残念ながら校内締め切りが数日前にもう過ぎていた、という状況。
こんなとき、どう考えて、親はどう動く?
わたしは「この体験から娘は何を学ぶだろうか」というアドラー心理学的な視点を忘れずに、話をするようにしています。
前提として、娘は先生と普段からよく話するタイプではなさそう。何か交渉したりすることはあまり得意ではなく、そういう経験も少ないタイプ。
交渉事は「別にまあいいか」とあきらめたり、「面倒だ」と避けてきたのかもしれません。実はとってもこの気持ちがわかります。私自身、交渉事が苦手なのです。
さらに娘は単純に「こんなイレギュラーなことを先生と話すのは緊張するから嫌」というのもありそうです。
そしてポイントは、この体験入学が後にも先にも一度きりしかない、ということ。
娘は、直接先生に交渉することをせずに、体験入学をあきらめる可能性もあると私には見えました。
でも、もしわたしが先生と交渉をしたら、体験入学には行けるかもしれないが、娘は「交渉する」ことを学ぶ機会を失ってしまう。さらに「挑戦したことのないことや面倒なことは親にやってもらえる」と学んでしまう。
わたしはあなたの進路だから、あなたが先生に直接交渉するべきと思うけど、もし、どうしてもできないというのであれば、わたしが電話をすることもできるからね、と伝えました。
親として、娘にできたことは
・先生にどんな言い方をするかのロールプレイング練習
・最終的に決めるのは先生
事務的な問題があるから無理といわれても
それは仕方のないことと娘に理解してもらう
・結果はやってみなければわからないけど
あなたの状況や今の気持ちをしっかり話すことはきっとできるよ!という勇気づけ
でした。
そして次の日、娘はニコニコ笑顔で帰宅。
「わたし、体験入学に行けることになった!」とのことでした。
娘なりに言葉を選んで組み立てて、「ずっと〇〇高校の体験入学に行こうと思っていたのですが、昨日初めて〇〇市の〇〇高校のことを知っていろいろ調べているうちに、行ってみたくなりました。校内締め切りは過ぎているのはわかっていますが、サイトを見たら、明日が締め切りとあったので、もし間に合うなら、行ってみたいのですがだめでしょうか?」という感じで交渉したそうです。普段交渉事が苦手な娘がこんなふうに先生に伝えることはきっと勇気のいることだったと思います。
先生たちの反応を聞いたところ「校内締め切りが過ぎているから、本当はもうだめだけど、あなたは日頃の行いがいいからOKにします」とのことでした(笑)
娘が今回のことで学んだことはたくさんあったと思われますが、この結果からも
・先生たちはいざとなったら協力してくれる
・日頃の行いが自分を助けてくれることがある
ということも学んでくれたかなと思います。
娘に「今日もし言わないで帰ってきたら、明日学校に電話しなくちゃって思ってた」と言うと、「わたし、ママに電話してもらおうなんて、これっぽっちも思ってなかった」とのこと。
そして「なんかねぇ、自分で自分の進路を切り開いているって感じがしてきて、すっごいウキウキしてる♪」と、頼もしいことを言っております。
学校からは三者面談に使う進路調査票が来ましたが、親の希望はあいかわらず「本人にお任せ」と記入して提出します。
子どもが元々もっている力を信じること、日々の生活の中でわたしも練習中です。